トラウマ

最近は本来の意味を外れ、単に「嫌な出来事」「ことあるごとに思い出してしまう記憶」くらいの軽い意味で用いられることが多い。過去のある出来事が現在のこれこれな状態を形成している、というわかりやすさ、単純さが、人に「トラウマ」という言葉を使わしめるのだろう。
思うに、他者からの影響によって現在の自分が形成されている、という物語を作り上げることは、世界と自分との間に確かなつながりを感じさせ、心に安定をもたらす効果がある。物語は科学ではない、しかし、幸せをもたらすためのちょっとした知恵であるとは言えるだろう。