2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

学校の二宮金次郎像と社会教育の関係

今でも小学校の片隅に二宮金次郎(尊徳)の銅像を見かけることがある。最近ではすっかり数が減ったとも聞くが、僕が通っていた小学生では当時(十年くらい前)、校庭の片隅に薪を背負って本を読みながら歩く二宮金次郎が立っていて、今でも「勤勉」という言葉を…

日高敏隆『動物という文化』

動物という文化 (講談社学術文庫)作者: 日高敏隆出版社/メーカー: 講談社発売日: 1988/12メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る生物学に関してはまるっきり素人の僕にもすんなりと頭に入ってくる、素晴らしい入門書。動物の体って…

若桑みどり『お姫様とジェンダー ―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』

お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 (ちくま新書)作者: 若桑みどり出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2003/06/01メディア: 新書購入: 4人 クリック: 85回この商品を含むブログ (47件) を見るタイトルに期待して損をした。問題提起とし…

世阿弥『風姿花伝』

風姿花伝 (岩波文庫)作者: 世阿弥,野上豊一郎,西尾実出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1958/10/25メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 39回この商品を含むブログ (77件) を見るもっとがちがちの芸術理論書だと思っていたが実際に読んでみると、一座の行く末…

「永遠の安心感を与えてやろう」

というDIO様の言葉に逆らって、人は自ら不安の中に足を踏み入れる。重要な決断に際して背中を押すのは希望でも楽観でもなく、やけっぱちの狂気だ、と思う。 「弱き旅人よ 引き返すがいい 倒れてしまう前に それでもお前は 行くというのか 遠い空の向こうまで…

吉川幸次郎・三好達治『新唐詩選』

新唐詩選 (岩波新書)作者: 吉川幸次郎,三好達治出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1952/08/10メディア: 新書購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (15件) を見る国語は好きだったが、国語の授業は嫌いだった。要するに人の話を聞くのが退屈だったの…

樋口一葉『たけくらべ/にごりえ』

にごりえ・たけくらべ (岩波文庫 緑25-1)作者: 樋口一葉出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/05/17メディア: 文庫 クリック: 34回この商品を含むブログ (39件) を見る近所の古本屋にて、一冊50円で購入。 大変に格調高い文章で、ワンセンテンスが非常に長…

「桃太郎」と鬼について

日本童話宝石集(二)日本の神話と十大昔話 (講談社学術文庫)作者: 楠山正雄出版社/メーカー: 講談社発売日: 1983/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る「かちかち山」が記憶していたよりもずっとグロくて驚いたよ。という話はさておき、今回は…

スティーブン・スピルバーグ監督『ジョーズ』

ハリウッド映画で「最後の敵」の死に方は、「爆発」「転落」「激突」にパターン化されていて、雑魚のように撃ち殺されることはない(あったとしても例外的)。銃社会という現実に対する、アメリカ人の屈折したマッチョイズムが現れているような気がする。 『イ…

トラウマ

最近は本来の意味を外れ、単に「嫌な出来事」「ことあるごとに思い出してしまう記憶」くらいの軽い意味で用いられることが多い。過去のある出来事が現在のこれこれな状態を形成している、というわかりやすさ、単純さが、人に「トラウマ」という言葉を使わし…

寺社参詣と拝観料

拝観料という制度が生まれたのは江戸時代に入ってからのことであるが、ただ、鎌倉時代の後期ごろから一般の拝観者がお賽銭を投げるという制度は存在しており、これが実質的には拝観料の代わりとなっていたと考えられている。 中世史を専攻している知人に聞い…