読書

エドワード・W・サイード『知識人とは何か』

知識人とは何か作者: エドワード・W.サイード,Edward W. Said,大橋洋一出版社/メーカー: 平凡社発売日: 1995/05/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (3件) を見るウェーバーの「精神なき専門人」という官僚制についての規定は…

ナラトロジー文献「本多勝一とジャーナリズム―報道を書く―」

今回も某所で報告した際のレジュメを転載。

柳田國男『遠野物語』

遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)作者: 柳田国男出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2004/05/26メディア: 文庫購入: 15人 クリック: 110回この商品を含むブログ (101件) を見る柳田民俗学(特にその初期作品)に対する「よくある批判」として…

仲正昌樹『今こそアーレントを読み直す』

今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書)作者: 仲正昌樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/05/19メディア: 新書購入: 12人 クリック: 58回この商品を含むブログ (98件) を見る仲正昌樹『今こそアーレントを読み直す』を読んだ。『「分かりやすさ」の…

無着成恭編『山びこ学校』

山びこ学校 (岩波文庫)作者: 無着成恭出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1995/07/17メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 37回この商品を含むブログ (26件) を見る 「わたしが、『山びこ学校』を読んで、一番強く印象づけられたのは、つぎのようなことである。…

石牟礼道子『苦海浄土』

新装版 苦海浄土 (講談社文庫)作者: 石牟礼道子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/07/15メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 175回この商品を含むブログ (71件) を見る 「二つの物体が同一の場所を占めえないように、ある人の立場が他者の立場に一致するこ…

ジャン=リュック・ナンシー『無為の共同体』

無為の共同体―哲学を問い直す分有の思考作者: ジャン=リュックナンシー,西谷修,安原伸一朗出版社/メーカー: 以文社発売日: 2001/06/15メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 51回この商品を含むブログ (29件) を見る過去に2回ほど挫折したのだけど、今回はな…

『坑夫』

夏目漱石の『坑夫』を読んだ。映像化不可能、というコピーが浮かんだ。ルポタージュ的な構成をとりながら、まったくそれらしくない饒舌さがなんとも漱石らしい。 新潮文庫版で270ページ。炭坑にたどり着くまでに100ページ、そのあと50ページくらいは…

橋川文三『ナショナリズム―その神話と論理』

ナショナリズム―その神話と論理作者: 橋川文三出版社/メーカー: 紀伊国屋書店発売日: 2005/06メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (19件) を見る話題があちこちに移動したり論理展開がいまいちよくわからなかったり、そもそも本書…

岡真理『記憶/物語』

記憶/物語 (思考のフロンティア)作者: 岡真理出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/02/21メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 43回この商品を含むブログ (50件) を見る記憶とは本人が所有する(だけの)ものではなくて、フラッシュバックのように制御不能…

安丸良夫『出口なお』

「出口なお」―女性教祖と救済思想 (洋泉社MC新書)作者: 安丸良夫出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2009/05/02メディア: 新書 クリック: 14回この商品を含むブログ (5件) を見る『出口なお』は、安丸の最高傑作という人もあれば、あれはもう歴史学ではないとい…

ナラトロジー関係文献

某所でナラトロジーについて勉強させてもらっているのだが、ちょっとした報告をする機会があったので、そのときに使用したレジュメをここに転載する。文献の引用のみで解説はなし。テーマは「ルポタージュと歴史学」ということで、ルポタージュ作家・沢木耕…

萱野稔人『国家とはなにか』

『国家とはなにか』作者: 萱野稔人出版社/メーカー: 以文社発売日: 2005/06/17メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 142回この商品を含むブログ (118件) を見る整合性のとれた美しい論理で書かれた、これから国家を語る上で必読と言える一冊である。ただ、…

栄沢幸二『「大東亜共栄圏」の思想』1995.12

この世に「正しい戦争」というものは存在しないが、だからといって全ての戦争が等しく悲惨で救いがないというわけではない。正しくはないが避けられない戦争というものがあり、また、戦争によって人々が多少はマシな状態になることがあるのも確かだ。戦争が…

竹村民郎・鈴木貞美編『関西モダニズム再考』

関西モダニズム再考作者: 竹村民郎,鈴木貞美出版社/メーカー: 思文閣出版発売日: 2008/02メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る東京中心史観を離れ、明治以降の関西から「近代」を問い直していこうという、比較的漠然とした問題…

片山杜秀『近代日本の右翼思想』

近代日本の右翼思想 (講談社選書メチエ)作者: 片山杜秀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/09/11メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 210回この商品を含むブログ (43件) を見る日露戦争後から第二次大戦までの右翼思想を包括的に扱おうと試みた、意欲的…

永原慶二『20世紀日本の歴史学』

20世紀日本の歴史学作者: 永原慶二出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 2003/03/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (6件) を見る明治維新から1980年代までの歴史学(主に日本史)の展開を平易な記述で語りなおした名著。最近つまらない本…

『太平洋戦争と新聞』−新聞の変容

太平洋戦争と新聞 (講談社学術文庫)作者: 前坂俊之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/05/11メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (12件) を見るちょっと出来事を調べる分には便利だし、軍民離間問題の話はなかなか興味深いかった…

アルベール・カミュ『異邦人』

異邦人 (新潮文庫)作者: カミュ,窪田啓作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1963/07/02メディア: 文庫購入: 21人 クリック: 167回この商品を含むブログ (412件) を見る勝手にカミュのことを実存主義者だと思い込んでいて、そのつもりで『異邦人』を読んだので…

ロアルド・ダール『あなたに似た人』

あなたに似た人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 22-1))作者: ロアルド・ダール,Roald Dahl,田村隆一出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1976/04/20メディア: 文庫購入: 26人 クリック: 276回この商品を含むブログ (90件) を見る短編の美学をつめ込んだ一冊。た…

大日方克己『古代国家と年中行事』

古代国家と年中行事 (講談社学術文庫)作者: 大日方克己出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/02/07メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る主に奈良から平安期を対象として、朝廷によって運営された年中行事の成り立ちと、…

日高敏隆『動物という文化』

動物という文化 (講談社学術文庫)作者: 日高敏隆出版社/メーカー: 講談社発売日: 1988/12メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る生物学に関してはまるっきり素人の僕にもすんなりと頭に入ってくる、素晴らしい入門書。動物の体って…

若桑みどり『お姫様とジェンダー ―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』

お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 (ちくま新書)作者: 若桑みどり出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2003/06/01メディア: 新書購入: 4人 クリック: 85回この商品を含むブログ (47件) を見るタイトルに期待して損をした。問題提起とし…

吉川幸次郎・三好達治『新唐詩選』

新唐詩選 (岩波新書)作者: 吉川幸次郎,三好達治出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1952/08/10メディア: 新書購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (15件) を見る国語は好きだったが、国語の授業は嫌いだった。要するに人の話を聞くのが退屈だったの…

樋口一葉『たけくらべ/にごりえ』

にごりえ・たけくらべ (岩波文庫 緑25-1)作者: 樋口一葉出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/05/17メディア: 文庫 クリック: 34回この商品を含むブログ (39件) を見る近所の古本屋にて、一冊50円で購入。 大変に格調高い文章で、ワンセンテンスが非常に長…

武者小路実篤『友情』

主人公は杉子という女性を好きになるが、彼女は主人公の友人である大宮のことが好きで、大宮は友情と愛情の板ばさみで苦しむ、という話。大宮くん良い人すぎ。 武者小路実篤という作家は「自分の文学の出発点はトルストイだった」としながらも、トルストイの…

山本博文『江戸お留守居役の日記』

三代将軍徳川家光から家綱の時代、萩藩(長州藩)江戸屋敷の留守居役として活躍した福岡彦右衛門の日記から、幕府と大名の関わり、そして藩士たちの江戸における生活の実態を描き出した興味深い一冊。これまでにも、幕府の直参である御家人や旗本の江戸生活に…

『啄木詩集』

啄木の詩はぐさぐさと胸を突き刺すようなシャープさと、思わずにやりとさせられる卑俗さがあって素敵です。 「何となく汽車に乗りたく思いひしのみ 汽車を下りしに ゆくところなし」 なんてスピード感のある詩もあれば、 「ふるさとを出で来し子等の 相会ひ…

『反哲学史』

哲学のわかりづらい2つの点、つまり「この哲学者は、その前の哲学者と比べてどう違うのか」と「この哲学者の考えは社会にどう反映されたのか」をわかりやすく解説した良書。僕もあまり哲学が得意じゃないので大いに勉強になりました。 一応は同じ著者の『現…

山県大弐『柳子新論』と革命について

柳子新論 (岩波文庫)作者: 山県大弐出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1989/06メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見る読了。明和事件で刑死した山県大弐の代表作であり、垂加神道や崎門学派、竹内式部などによって造成された尊王斥…