2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

武者小路実篤『友情』

主人公は杉子という女性を好きになるが、彼女は主人公の友人である大宮のことが好きで、大宮は友情と愛情の板ばさみで苦しむ、という話。大宮くん良い人すぎ。 武者小路実篤という作家は「自分の文学の出発点はトルストイだった」としながらも、トルストイの…

山本博文『江戸お留守居役の日記』

三代将軍徳川家光から家綱の時代、萩藩(長州藩)江戸屋敷の留守居役として活躍した福岡彦右衛門の日記から、幕府と大名の関わり、そして藩士たちの江戸における生活の実態を描き出した興味深い一冊。これまでにも、幕府の直参である御家人や旗本の江戸生活に…

河鍋暁斎について−京都国立博物館「没後120年記念 絵画の冒険者 暁斎 Kyosai−近代へ架ける橋−」展によせて−

神仏分離に始まる日本社会の「近代化」において宗教に与えられた役割は、自らをキリスト教や社会主義への防波堤になぞらえ、人民を天皇制国家における忠良な臣民に教育することであった。仏教は教義の合理性を強調し、国家の教化政策の側に組み入れられるこ…

『啄木詩集』

啄木の詩はぐさぐさと胸を突き刺すようなシャープさと、思わずにやりとさせられる卑俗さがあって素敵です。 「何となく汽車に乗りたく思いひしのみ 汽車を下りしに ゆくところなし」 なんてスピード感のある詩もあれば、 「ふるさとを出で来し子等の 相会ひ…

『反哲学史』

哲学のわかりづらい2つの点、つまり「この哲学者は、その前の哲学者と比べてどう違うのか」と「この哲学者の考えは社会にどう反映されたのか」をわかりやすく解説した良書。僕もあまり哲学が得意じゃないので大いに勉強になりました。 一応は同じ著者の『現…

『ジャズ大名』

筒井康隆原作、岡本喜八監督作品。原作を読んだのはもう何年も前の話ですが、作中に登場する黒人が適当に演奏した曲を「のちのメイプル・リーフ・ラグである」なんていう風にしれっと書く脱力感が印象的な作品です。 幕末を舞台に、漂着した黒人の奏でるジャ…

『エクソシスト』

今までに何度も見ている作品ですが、さすがに立派な映画。 物語全体をキリストの受難、そしてキリスト教が古代の神々を追放していく過程の追体験として読むことが出来る、という点については説明を要しないでしょう。イラクの悪魔がわざわざアメリカの少女に…

『死霊の盆踊り』

エド・ウッドが脚本を書き、その友人がメガホンを取ったというこの作品。俳優がカンペ読んでいるのがバレバレだったり、夜のシーンがいきなり昼になったり、崖から車に乗ったまま転落したはずなのに無傷だったり(そもそも車は何処にいった)、内容はと言えば…

今回は日記らしく、最近見た映画や読んだ本の話。