2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

歴史の物語り論−「開かれた未来」からの歴史認識の可能性について

1980年代のドイツで起こった「歴史家論争」の渦中、感傷的な筆致によって第二次大戦中のドイツ軍との心情的同一化、ひいては彼らの行った歴史的事実の正当化を試みたアンドレス・ヒルグルーバーに対し、ユルゲン・ハーバーマスは以下のような批判を加えた。 …

大正と大正天皇、それと狂気について

前回の終わりに夢野久作の名前を出したが、今回の導入としてその話を少し。 代表作『ドグラ・マグラ』が書き下ろされたのは昭和10年1月のこと。しかし、初稿にあたる『狂人の解放治療』は大正15年に書かれており、作者によるとその構想はさらにそれ以前へと…

最近見た映画

悪魔のいけにえ スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]出版社/メーカー: video maker(VC/DAS)(D)発売日: 2007/06/08メディア: DVD クリック: 20回この商品を含むブログ (29件) を見るうっかり夜中に見たせいで寝れなくなってしまった。怖いよう。ううう。な…

明治と明治天皇

ミカド―日本の内なる力 (岩波文庫)作者: W.E.グリフィス,亀井俊介出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1995/06/16メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (5件) を見るW.E.グリフィス『ミカド』を読了。面白かった。グリフィスが日本を褒めるのは、…

『日本共産党』について

日本共産党 (新潮新書)作者: 筆坂秀世出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/04/15メディア: 新書購入: 1人 クリック: 152回この商品を含むブログ (105件) を見る読了。本書においては「議論を尽くす」という建前の民主集中制が形骸化し、現実にはトップの意…

丸山思想史とムラの話

メインブログで書いた丸山真男と「実感信仰」について少しだけ補足。 丸山真男に象徴される「近代主義」思想家たちにとってムラは前近代の封建的村落共同体の要素を強く残したものであり、それゆえに天皇制、ひいては天皇制ファシズムの温床として否定的に評…

土地と権力

近代の権力は基本的に人と土地の繋がりを強くする方向に作用する。住所が確定しないと職に就けなかったり、政治に参加出来なかったり。そうしないと徴税と徴兵が出来ない、というのがその主な理由だが、この事実は現代でも第三世界の近代化を考える上で重要…