2008-04-19から1日間の記事一覧

武者小路実篤『友情』

主人公は杉子という女性を好きになるが、彼女は主人公の友人である大宮のことが好きで、大宮は友情と愛情の板ばさみで苦しむ、という話。大宮くん良い人すぎ。 武者小路実篤という作家は「自分の文学の出発点はトルストイだった」としながらも、トルストイの…

山本博文『江戸お留守居役の日記』

三代将軍徳川家光から家綱の時代、萩藩(長州藩)江戸屋敷の留守居役として活躍した福岡彦右衛門の日記から、幕府と大名の関わり、そして藩士たちの江戸における生活の実態を描き出した興味深い一冊。これまでにも、幕府の直参である御家人や旗本の江戸生活に…

河鍋暁斎について−京都国立博物館「没後120年記念 絵画の冒険者 暁斎 Kyosai−近代へ架ける橋−」展によせて−

神仏分離に始まる日本社会の「近代化」において宗教に与えられた役割は、自らをキリスト教や社会主義への防波堤になぞらえ、人民を天皇制国家における忠良な臣民に教育することであった。仏教は教義の合理性を強調し、国家の教化政策の側に組み入れられるこ…