『ジャズ大名』

筒井康隆原作、岡本喜八監督作品。原作を読んだのはもう何年も前の話ですが、作中に登場する黒人が適当に演奏した曲を「のちのメイプル・リーフ・ラグである」なんていう風にしれっと書く脱力感が印象的な作品です。
幕末を舞台に、漂着した黒人の奏でるジャズに魅了された大名が、いつ終わるともしれないジャムセッションに加わり、気がついたら明治維新によって新しい時代を迎えていた、というストーリィ。もともと短編ですから映画化に際して筋が変わってしまった、ということもなく、概ね原作に忠実な映画です。ああ、軍隊が通りやすいように城の畳を取り払ったのを「後の東名高速である」というギャグは映画オリジナルか。
演奏される音楽がずーっと「メイプル・リーフ・ラグ」であるのは大いに不満ですが、原作の馬鹿馬鹿しさと軽薄さ(褒め言葉)をよく再現した作品であると思います。

ジャズ大名 [DVD]

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