『啄木詩集』

啄木の詩はぐさぐさと胸を突き刺すようなシャープさと、思わずにやりとさせられる卑俗さがあって素敵です。

「何となく汽車に乗りたく思いひしのみ
汽車を下りしに
ゆくところなし」

なんてスピード感のある詩もあれば、

「ふるさとを出で来し子等の
相会ひて
よろこぶにまさるかなしみはなし」

というダイナミックな飛躍を感じさせる詩もある。
中学生や高校生の国語の授業でも詩を読まされましたが、あのころは全然でした。でも、最近は半年に一回くらいの割合で読みたくなるんですよね。自分がまとまった文章を書くようになって、詩的なセンスが足りないなと思うことが多くなったからでしょうか。行から行への飛躍の力学は、小説だとつい読み飛ばしてしまうので、それを学ぶには詩がうってつけです。

啄木詩集 (岩波文庫)

啄木詩集 (岩波文庫)