雑文

ナラトロジー文献「本多勝一とジャーナリズム―報道を書く―」

今回も某所で報告した際のレジュメを転載。

近代日本における統治権力の浸透過程について

ガルブレイスの「不確実性の時代」で、第二次大戦を経験した人はそれが時代を変えた分水嶺だと思いたがるけれど、社会的な観点から見れば第一次世界大戦において決定的な変化が起こったのだと言っているが、まったくその通りだと思う。日本社会においては「…

ナショナリズムとパトリオティズム

ナショナリズムとパトリオティズムは別物であると、ナショナリズムを扱った大抵の本には書いてある。しかし、いよいよナショナリズムが高揚しようというときには、このふたつが結びつくことが多い。なんで?と昔から疑問に思っているのだが、誰も答えてくれ…

サバルタンについて

スピヴァクの「サバルタンは語ることができるか」を再読。なるほど、面白い本だと思う。安丸良夫の民衆史と合わせて読みたい。知識人であるがゆえの孤独を引き受けなければならない、サバルタンの代わりに語ろうなどと思ってはいけない、ということは安丸自…

ナラトロジー関係文献

某所でナラトロジーについて勉強させてもらっているのだが、ちょっとした報告をする機会があったので、そのときに使用したレジュメをここに転載する。文献の引用のみで解説はなし。テーマは「ルポタージュと歴史学」ということで、ルポタージュ作家・沢木耕…

近世在地社会における教養について

徳川吉宗が設置した目安箱について、室鳩巣がこんなことを書いている。「百姓名主の子に学問これ有る者」の投書が、「漢文にて調い候て、御勘定頭などよめかね」「御奉行以下読み得申す者これ無く」、つまり学問のある百姓の出した投書が見事な漢文で書かれ…

竹内好について

ゼミの後輩が竹内好についての発表を行ったのを聞いて、個人的にも竹内の書いた文章を読み直してみた。中国へ兵隊として向かう直前に書かれた『魯迅』にはこうある。 魯迅の根本思想は人は生きねばならぬといふことである。それを李長之は直ちに進化論的思想…

最近噂になっている懸賞論文を読んだ。満州事変はどこいった。 昔、戦前の陸軍士官学校では幼年学校から陸大まで一度も政治に関する講義がなかったという話を聞いて、なるほどなーと納得したことを思い出した。現代はどうなのか、知らない。 あと、ユルゲン…

バタイユと戦争

澁澤龍彦を通してジョルジュ・バタイユを知った私にとって、バタイユという思想家はエロ・グロ・ナンセンスな作品に触れるときに思い出す程度の神秘主義者でしかなかった。 しかし最近、冷戦下におけるバタイユの思想展開を調べているうちに、どうもそうでは…

トラウマ

最近は本来の意味を外れ、単に「嫌な出来事」「ことあるごとに思い出してしまう記憶」くらいの軽い意味で用いられることが多い。過去のある出来事が現在のこれこれな状態を形成している、というわかりやすさ、単純さが、人に「トラウマ」という言葉を使わし…