『バタリアン』
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント
- 発売日: 2004/04/02
- メディア: DVD
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ゾンビの足が速いのなんのって、『バイオハザード』でこれだったら主人公は即効噛み殺されてるよ、というくらい。道具も使うし、「お兄ちゃんどいてそいつ殺せない!」というくらいタフだし。それで全く怖くない、というのが素晴らしい。「先聞後見」というのかな。台詞やSEで前振りをたっぷりとっているので、サプライズは存在しない。それでいて、主人公たちがどうなっても別に構わないので、サスペンスにもならない。冒頭から完全にコメディ。
ヒッピーの青年が殺されるのはお約束だなぁ、と思うのだけど、冷静に考えればアメリカ社会の不寛容さを現しているようで笑えない。『イージー・ライダー』もそうか。『バタリアン』のクライマックスの面白さというのは、そういう差別さえも無化してしまう「善悪の彼岸」が垣間見えることにあるのかもしれない。ただ、『バタリアン』のラストは、一番盛り上がったところでぶつんと切ってしまった方が印象に残ったと思うのだけど、その後の余計なエピローグのせいで意味が生まれてしまった、と僕は思う。『悪魔のいけにえ』のクライマックスも全然描き方は違うけれど、追われる一般人/追う悪役という二項対立を破壊するようなものがあって、『バタリアン』の安直さに比べれば、こちらの方が上等かな。
それ以外は特に文句もなく。驚くような演出はないけれど、普通に上手いと思った。最初に出てきたゾンビを解体するシーンなんて痛そうで痛そうで、これは本当にホラー映画なのかもしれないと一瞬錯覚してしまった。