『泥棒成金』
泥棒成金 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- 発売日: 2008/06/20
- メディア: DVD
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主人公はヒッチコック作品常連のケイリー・グラントとグレース・ケリー。成熟したヒーロー的男性と、情熱を内に秘めた淑女、といういつもの組み合わせ。グレース・ケリーは最初ツンと澄ました女性として描かれながら、いきなり主人公に抱きついてキスしてしまう。この作品ではグレース・ケリーとその母親の強引さが印象的で、むしろ主人公が目立たない。クライマックスでは、主人公とヒロインが結ばれたところで、ヒロインが「きっとここならママも気に入るわ」とつぶやき、主人公が「え?」という顔をしたところで終わる。
そういう愉快な話ではあるのだけど、あまり僕の好きな話ではないなぁ。「なぜ警察から逃げる?」といういつもの疑問と、ここという盛り上がりに欠ける。エモーションの変化に合わせてカットのサイズを変えるカメラワークも散漫な印象。風景が綺麗だから見せたいというのは理解できるのだけど。どうも風光明媚なところでロケした映画って、面白いものがないような気がする。ロッセリーニもドイツ三部作で「凄い!」と思ったのに、そのあと「イタリア旅行」を観て「えー」、と。ただ、見晴らしの良い場所で主人公が「落ちるんじゃないか」と心配するあたりは、とてもヒッチコック的だと思った。
まあ、はっきりいってどうでもいい話。泥棒に間違えられた元泥棒が、成金のお嬢さんの力を借りて真犯人を見つけ、ヒロインと結ばれる、という内容。いつものマンハント。終始ヒロインの方が積極的で、主人公にはむしろその気がない、という点が少し変わっているけど、その程度でしかないだろう。映画の冒頭、帆船模型の飾られたショーウインドに、「France」と書かれた紙が貼られている。そこはきっとアメリカだろう。それで舞台の説明は終わる。この簡潔さは良いと思った。
そういえばヒッチコック作品には「子ども」が出てこない。何かあったかな。ヒッチコックの怖いもの3つ(子ども、高所、警察)のうち、後ふたつは頻出するけど、なぜか子どもは出てこない。あと、DVDの特典映像でパトリシア・ヒッチコックやその娘が、訳知り顔にヒッチコック作品を語ってるのは何で?いや、君、出演すらしてないじゃん。といつも思う。