古寺巡礼

日本庭園通史

以前サークルの新入生に向けて書いた文章がまだパソコンに残っていた。せっかくなので転載してみようと思う。需要はないだろうが、学部生の頃に書いた文章の中では比較的よく書けているもののひとつである。と自画自賛。

高尾・神護寺

京城の西北三里許りに在り。山の形、鷹の尾に似たり。故に或いは鷹尾山と称す。紅楓の名区也。 黒川道祐『雍州府志』(1686.9) 神護寺の大師堂(弘法大師を祀るお堂)の内部が初めて一般公開されたと聞き、天気も良かったので、自転車に乗って行ってきた。 京都…

大原・三千院

「京都 大原 三千院 恋に疲れた女がひとり」(『女ひとり』)で有名な大原に行ってきた。歌はこの後「京都 栂尾 高山寺」「京都 嵐山 大覚寺」と続くわけだが、それだけ歩き回れば恋をしてなくても疲れるだろう。 大原の地名は天徳元年(957)に牛馬を飼育する「…

高梁・頼久寺

この頼久寺は、江戸時代初期の茶人・小堀遠州が父の後をついで備中国奉行となった際に仮の住居とした場所で、庭園もその時に作庭されたと伝えられている。私の記憶では、遠州が作庭を行ったという確実な記録は存在せず、正確には「伝・遠州作」とするのが正…

尾道・浄土寺

更新を休んでいた間、山陽の古寺や庭園を回っていた。 最初に訪れたのは尾道の浄土寺。多数の国宝・重文を有するこの寺は、鎌倉時代から在地の有力商人たちの財力によって維持されてきた。そもそも商港・尾道のルーツはかつて後白河法皇の荘園・太田荘の倉敷…