独り史料講読

萩原朔太郎『日本への回帰―我が独り歌へるうた―』1937.12

萩原朔太郎は1886年生まれの作家・詩人。石川啄木や谷崎潤一郎と同年の生まれであり、日本の「西洋化」を体験してきた世代である。『月に吠える』(1917)『青猫』(1923)によって口語自由詩を確立したが、後の『氷島』(1933)で文語体に回帰。今回取り上げるエ…

柏木義円「渡瀬氏の『朝鮮教化の急務』を読む」1914.4

柏木義円は同志社出身の牧師で、明治三十一年から38年間に渡って刊行された『上毛教会月報』によってその名を知られている。日本組合教会に所属していたが、同教会が総督府の依頼を受けて朝鮮伝道を始めると、それに強く反対した。以下の引用文は、朝鮮伝道…

沢田謙「都市の反逆」1923.9

沢田謙は戦後、偕成社から伝記シリーズを多数出版した児童文学者である。ただし、戦前にはここで引用するような社会時評的な活動も行っていたことは、現在ではあまり知られていない。昭和期には『ヒットラー伝』『ムッソリーニ伝』とプロパガンダ的なものを…

天皇機関説と国民道徳

世の学生の例に漏れず期末試験対策でちょっと忙しいのだが、そうすると、まったく緊急性の無いことを調べたくなるのが人情というものである。そこで今回は、明治四十五年に雑誌『太陽』に掲載された美濃部達吉「上杉博士の「国体に関する異説」を読む」を通…